京都を読もう!京都を感じるおすすめ小説7選

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この記事では、京都が物語の舞台となっている小説を紹介します。

京都を舞台にした小説には、ミステリー、時代もの、ファンタジーなど、幅広いジャンルの作品がありますが、どんなジャンルにも馴染む雰囲気が京都の街にはあるのかもしれません。

歴史があり、独特の雰囲気と風情があり、そして、ちょっと不思議でちょっと「いけず」

この記事で紹介する小説は、京都に実在する場所が物語の随所に描かれていて、読むと京都を訪れたくなる、雰囲気を味わいたくなる、そんな作品を選びました。

もちろん、京都を良く知る人なら、とても身近に感じられる作品ばかり。

この記事で、あなたのお気に入りの作品を見つけてください。

目次

『異邦人』

『異邦人(いりびと)』は、原田マハさんの小説。

第6回京都本大賞受賞作で、2021年に連続ドラマ化された作品です。

出産を控え京都に滞在している主人公の菜穂。

個人美術館の副館長でもある菜穂が、老舗画廊で運命的に出会う一枚の絵から、物語が動き始めます。

自分の中で、何かが、ことりと動く感じがあった。
いや、違う。動いたのではない。刺さったのだ。
菜穂の胸中に、得体の知れない感情が、つむじ風のように巻き起こった。
えも言われぬ感情。
見果てぬ欲望の予感があった。

異邦人 Kindle 版 P42より引用

キュレーターでもある原田マハさんお得意の美術もの。

京都の街や画壇の、ある意味閉鎖的な雰囲気や、ドロドロした人間ドラマも垣間見えますが、京都の四季を背景に、女性の力強さや、「美」に対する執念が生き生きと描かれています。

『鴨川ホルモー』

『鴨川ホルモー』は万城目学さんのデビュー作。

2009年には、実写映画化、舞台化もされたファンタジー作品です。

京都大学の新入生である安倍くんは、ひょんなことから参加した新歓コンパで一目惚れした女性とお近づきになりたくて、「京都大学青竜会」という、イケてない名前のサークルに入会します。

何をするサークルなのかもよくわからないまま、一目惚れの彼女に会うためだけに参加し続けて2ケ月。

このサークルの活動が、「ホルモー」なる謎の競技を戦うことであると初めて知ったのは、祇園祭宵山の日でした。

七月十六日、祇園祭の宵山。
俺が初めて「ホルモー」の存在を知った日として、生涯記憶に刻まれる新月の夜だった。
もっとも、そのときはまだ、俺は「ホルモー」の何たるかを、何も理解していなかったが。

鴨川ホルモー  Kindle 版 P50より引用

京都の街中で繰り広げられる、ドタバタ妄想小説なのですが、学生たちの友情と成長の物語とも言えるのかも。

ゆる~い感じの万城目ワールドが、なんとも笑える作品です。

『京都寺町三条のホームズ』

『京都寺町三条のホームズ』は、望月麻衣さんのシリーズ作品で、第4回京都本大賞受賞作です。

物語の舞台は、京都寺町三条にある骨董品店「蔵」。

京都に引っ越してきて間もない女子高生・真城葵が、「ホームズ」こと京大院生・家頭清貴とひょんなことで出会い、清貴から「蔵」でのアルバイトに誘われるところから、物語が始まります。

「蔵」に持ち込まれる様々な依頼は、骨董品や美術品の単なる鑑定依頼だけでなく、美術品にまつわる秘密や人間関係のトラブルに関わることも少なくありません。

そんな難題を、清貴と葵が、お互いの感性と知識をフル活用して解き明かしていく軽いミステリー作品で、物語の進行とともに二人の関係性が深まっていく様も、読みどころのひとつです。

シリーズを通して、実在する京都の街や名所の歴史・風情が忠実に描かれているので、清貴や葵とともに京都の各地を訪れ、街の雰囲気を楽しんでいるような感覚に浸れますよ。

『神宮道西入ル 謎解き京都のエフェメラル』

『謎解き京都のエフェメラル』は、この作品でデビューした泉坂光輝さんの探偵小説です。

平安神宮にほど近い神宮道で、「あなたの失くしたもの、見つけます」と書いた看板を掲げる探偵・春瀬壱弥が主人公。

昼間から寝て過ごしているところをみれば、仕事に対する意欲がないものだと感じてしまうが、蓋を開いてみると、探偵としての噂は良いものばかりであった。
「失くしたものを見つけてくれるすごい探偵がいる」だとか、「捜索のスペシャリスト」だとか、「依頼完遂率ほぼ百パーセント」だとか。
今まさにシャツの裾を捲り上げ、腹をぼりぼりと掻くおじさんくさい素行からはまったく想像もつかないのだが。

宮道西入ル 謎解き京都のエフェメラル Kindle版 位置148/3478より引用

普段は家事もしないダメダメな人、でも仕事は徹底してやるイケメン。

しかも、依頼された調査を単に解決するだけでなく、「依頼者にとって本当に大切なものを見つける」のが仕事という、ちょっと変わった探偵です。

そして、壱弥の助手?世話役?の大学生・高槻ナラがもう一人の主人公。

親友・遺品・クロネコと探すものは様々ですが、その裏にある「本当に大切なもの」を見つけに、二人が京都の街中を駆け回ります。

京都弁での二人の掛け合いとともに、物語の随所に京都の魅力が散りばめられた、面白くて心温まる物語です。

『聖なる怠け者の冒険』

『聖なる怠け者のの冒険』は森見登美彦さんのファンタジー小説で、第2回京都本大賞受賞作です。

主人公は、怠けることに全力投球する究極の怠け者、妄想が止まらない小和田くん。

対照的に、週末になれば京都の街のあちらこちらにせっせと姿を現すのが、怪人「ぽんぽこ仮面」です。

旧制高校のマントに狸のお面という、ヘンテコな出で立ちで街をうろつく変わり者と思いきや、実は困った人を助けてくれる「いいやつ」なんです。

そんな怪人に、なぜか跡継ぎとして目を付けられたのが小和田くん。

謎の組織に追い回される「ぽんぽこ仮面」を中心に、上を下への大騒動が待ち受けます。

聖なる怠け者とは、人に畸にして天にひとし、無用の用の人である。
しかし「無用の用」という言葉を伝家の宝刀のように振りまわして、声高に主張するのはやめておきたい。

聖なる怠け者の冒険 Kindle版 位置No.3020/4094より引用

京都のファンタジーといえば森見作品なのですが、この『聖なる怠け者の冒険』も舞台はやっぱり京都。

期待は裏切りません。

今ではあまり使われない言い回しをあえて使った主人公たちの言葉のやりとりが、分かったような分からないような、それでいて、なんとも言えない面白さで、読んでいるうちにどんどん妄想が膨らむ独特な世界観。

森見登美彦ワールドが堪能できます。

『手のひらの京』

綿矢りささんの作品『手のひらの京(みやこ)』

両親とともに京都に暮らす奥沢家の三姉妹、綾香・羽衣・凛の物語です。

図書館勤務でちょっと結婚をあせる年頃の長女・綾香。

大企業勤めでモテ女の次女・羽衣。

理系の大学院生で、就職のことで悩む三女・凛。

性格も考え方も違うけれど、支えあって暮らす三姉妹の日常が、その時々の心の動きや、悩みに立ち向かう姿とともに、淡々と丁寧に描かれた、それぞれの成長物語でもあります。

厳しい現実を描いた物語であっても、どこかほんわかした雰囲気は、京都で生まれ育った綿矢さんならでは。

京都愛溢れる作品に仕上がっています。

京都の風情や京都人の気質が手に取るようにわかり、四季折々の街の魅力も満載です。

京都人の気質といえば、こんな描写もイヤミではなく印象的。

京都の伝統芸能「いけず」は先人のたゆまぬ努力、また若い後継者の日々の鍛練が功を奏し、途絶えることなく現代に受け継がれている。
ほとんど無視に近い反応の薄さや含み笑い、数人でのターゲットをちらちら見ながらの内緒話など悪意のほのめかしのあと、聞こえてないようで間違いなく聞こえるくらいの近い距離で、ターゲットの背中に向かって、簡潔ながら激烈な嫌味を浴びせる「聞こえよがしのいけず」の技術は、熟練者ともなると芸術的なほど鮮やかにターゲットを傷つける。

手のひらの京 Kindle版 位置No.2690/2728より引用

『夜は短し歩けよ乙女』

森見登美彦さんの小説をもう一作。

『夜は短し歩けよ乙女』は、漫画やアニメ映画化もされたベストセラー作品です。

この物語は、「黒髪の乙女」と、彼女に恋する「先輩」の二つの視点を交互に描きながら進んでいきます。

京都の大学に通う「先輩」は、同じサークルの後輩である「黒髪の乙女」に密かに思いを寄せていて、彼女の気を引こうと様々な策を講じるのですが、ことごとく空回り。

というか、純粋で無邪気な「黒髪の乙女」は、「先輩」の思いにいっこうに気づかないのです。

しかし重大な問題は、彼女がまったく意を払わないということであった。
私の持つたぐいまれなる魅力どころか、私の存在そのものに。
こんなにしょっちゅう会っているのに。
「ま、たまたま通りかかったもんだから」という台詞を喉から血が出るほど繰り返す私に、彼女は天真爛漫な笑みをもって応え続けた。
「あ! 先輩、奇遇ですねえ!」

夜は短し歩けよ乙女  Kindle 版 P135より引用

そうしているうちにも、周囲の個性的な面々が繰り広げる、おかしなトラブルに巻き込まれ続ける二人ですが、自由奔放でマイペースな「黒髪の乙女」と、ちょっと弱気な「先輩」の絆が少しずつ深まっていく、この微妙な距離感が丁寧に描かれています。

この物語は、木屋町先斗町、出町柳、百万遍などの京都の街や、下鴨神社、銀閣寺、哲学の道といった名所を背景に、オシャレで和モダンな雰囲気が漂う、ユーモアと幻想が満載の青春ラブストーリーです。

おわりに

京都五重の塔

古都の歴史と文化が息づく京都は、ただ観光地として楽しむだけでなく、小説の舞台としても魅力的な街。

今回この記事で紹介した小説を通じて、京都という街の魅力が少しでも伝わればいいなと思います。

そして、小説を読んで興味がわいたら、ぜひ舞台となったその場所を実際に訪れてみてください。

小説の描写と実際に見て感じた風情が重なって、京都の魅力がさらに実感できるはずです。

「裏表がある」とか「いけず」とか「閉鎖的」とか、ネガティブに思う面もあるかもしれません、確かに少しは。

でも、それも全部ひっくるめて、京都を好きになってもらえれば。

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