京都が舞台の日常ミステリー5選 ~ 京都で日常の謎を解き明かす

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祇園の風景
京都フリー写真素材

観光地として人気の京都ですが、小説の舞台としても多くの作品に登場します。時代小説もあればファンタージもあり。単に物語の舞台が京都というだけじゃなく、街の空気感や人々の暮らしぶりが、物語にうまく溶け込んだ作品が多いように思います。

今回紹介するのは、いろんなジャンルの小説から、京都を舞台にしたライトミステリー小説。ミステリーといっても、殺人事件のような重い話や怖い話じゃありません。日常の中のちょっとした謎や不思議を、温かな人間関係の中で解き明かしていく物語です。観光ではない京都の日常を感じながら、謎解きを楽しんでください。

目次

京都の空気を感じるミステリー小説

京都・五重の塔

ここで取り上げる作品に共通する魅力は、“日常の京都”。いわゆる観光名所じゃない、ごく日常的な場所が物語の舞台になっています。

京都の雰囲気も存分に感じられるし、登場人物たちの言葉や人間関係も心地いい。読んでいるうちに、自然と京都の街を歩いているような気分になれて、あたたかさが残る物語です。

ミステリー好きだけど怖い話は苦手な人にはぴったり。リラックスして気軽に楽める、それでいてどこか旅気分も味わえる――。そんな小説を探している方は一度手に取ってみてください。

望月麻衣『京都寺町三条のホームズ』

『京都寺町三条のホームズ』シリーズの舞台は、京都の寺町三条にある骨董品店「蔵」。骨董の目利きで“ホームズ”の異名を持つ京大生・家頭清貴と、ひょんなことから店で働くことになった女子高生・真城葵のコンビが、骨董にまつわる小さな謎を解いていく物語です。

本格的な推理モノというより、人の気持ちに寄り添った“日常ドラマ”。鑑定を通じて浮かび上がる人間模様、京都の街並みや商店街の空気感、そして少しずつ近づいていく二人の関係が、なんとも心地よいテンポで描かれていきます。

骨董の話って、少し難しそうに思えるかもしれませんが、そこは大丈夫。解説や背景も丁寧で、読みながら自然と「なるほどー」と思える構成になっています。登場する品々も、ただの道具ではなく、そこに人の記憶や感情が宿っているのがこのシリーズの面白さです。

この作品は、第4回京都本大賞受賞している人気シリーズです。

泉坂光輝『神宮道西入る 謎解き京都のエフェメラル』

『神宮道西入る 謎解き京都のエフェメラル』は、泉坂光輝さんのデビュー作。平安神宮にほど近い神宮道の探偵事務所を舞台に、探偵の春瀬壱弥と女子大生の高槻ナラが町の人々の小さな悩みや過去に寄り添いながら謎を解いていく物語です。

依頼される探しものは、親友や遺品、クロネコといった、身近で大切なもの。二人は依頼されたものを探して京都の街中を駆け回ります。でも、この探偵事務所の仕事は、依頼品を探すだけでは終わらないんです。

依頼者が「なぜ探したいのか」「探し出してどうしたいのか」という気持ちに寄り添って、依頼の裏に隠れている「本当に大切なもの」を見つけてくれます。

普段は家事もしないダメダメな人だけど、仕事は徹底してやる壱弥と、そんな壱弥に時には振り回されながらも世話を焼くナラ。京都弁での二人の掛け合いとともに、物語の随所に京都の魅力が散りばめられた、面白くて心温まる物語です。

岡崎琢磨『珈琲店タレーランの事件簿』

『珈琲店タレーランの事件簿』は、岡崎さんのデビュー作にして、第1回京都本大賞受賞作です。

「その謎、大変よく挽けました」。この決め台詞とともに、京都の小さな喫茶店「タレーラン」で巻き起こる日常の謎を、若きバリスタ・切間美星が解いていくシリーズです。事件簿と言っても、大事件ではなく、誰かの言葉の違和感だったり、気になる仕草だったりと、日常の中に潜むちょっとした謎がテーマです。

美星は、コーヒー豆を丁寧に挽いて、香りとともに謎を読み解いていきます。相棒となるのは、少し頼りないけれど心優しい常連客の青年・アオヤマ。二人のやりとりも物語の魅力で、恋愛が主軸にはなりすぎない、ほどよい距離感がいい。

純喫茶という空間も手伝って、京都のゆったりとした時間の流れを肌で感じられる作品です。

白川 紺子『下鴨アンティーク』

京都・下鴨が舞台の『下鴨アンティーク』。古い洋館で暮らす高校生・野々宮鹿乃は、祖母が遺した蔵を開けたことから、不思議な力を宿した着物たちと出会います。柄が揺らいだり、メロディーが聞こえたり――着物をめぐる小さな謎を、古典文学や人の想いを手がかりに解きほぐしていく物語です。

この物語の魅力は、着物の美しさの奥に「人の心のぬくもりと儚さ」が感じられるところ。それぞれの章に描かれるのは、恋愛や後悔、家族への想いなど、誰もが心のどこかに抱えている気持ちです。鹿乃のほんわかとした優しい人柄が、そんな想いを静かに癒していきます。

舞台である下鴨の町の描写も印象的。下鴨の落ち着いた街並みと着物に宿る想いが重なって、読んでいると自然と京都の空気が感じられて、心があたたまります。

望月麻衣『わが家は祇園の拝み屋さん』

『わが家は祇園の拝み屋さん』の舞台は祇園。和雑貨店「さくら庵」で暮らすことになった少女・小春が、“拝み屋”という家業を手伝いながら、人や土地にまつわる不思議な出来事に向き合っていく物語です。

「さくら庵」には、あやかしや霊的な存在にまつわる小さな謎や相談ごとが持ち込まれます。それらに真正面から向き合いながら、小春自身が少しずつ自分を取り戻していく過程が描かれます。

拝み屋というと少しオカルトな響きがありますが、この作品の持ち味はむしろ“柔らかくてあたたかい”ところ。恋愛や家族との絆、祇園の人情やしきたりも丁寧に織り込まれていて、物語の背景にある京都の雰囲気を感じさせてくれます。

和菓子やお香、着物といった京都の伝統文化が、物語の中で自然に登場してくるのも魅力。読んでいるだけで、祇園の細い路地を歩いているような気分になれます。

京都に流れる時間を楽しむ

八坂神社

京都を舞台にしたこれらの小説は、観光ガイドには載っていない、街の日常や人の心の動きを丁寧に描いています。骨董や着物、和菓子といったテーマを通じて、ゆっくりと流れる京都の時間や空気感を、肩ひじ張らずに楽しめます。もちろん、有名な観光名所も随所に登場するので、ちょっとした旅気分にも浸れます。

旅行に行く時間がなかなか取れなくても、この物語の中に静かな京都の風景があります。気分転換したい時間に、今回紹介したシリーズを手に取ってみませんか。きっと、あなた好みの京都が見つかるはずです。

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