この記事では、末永 幸歩『13歳からのアート思考』を紹介します。
あなたは、アートに興味がありますか?
私は、音楽を聴くことは好きですが、絵画や造形物を積極的に鑑賞するほうではありません。
そもそも、作品をどのように鑑賞すれば良いのかがわからないのですよね。
作品を通して何を感じ、何を学べば良いのか。
この本は、アートがわからない私でも興味深く読める本でした。
『13歳からのアート思考』
美術教師でもある著者の末永さんは、現在の学校での美術教育に大きな疑問を持たれています。
絵を描いたりものをつくったりする「技術」と芸術作品の「知識」の習得に偏っているのではないかと言うのです。
その結果、物事の表面だけを見て、大事なことを素通りしてしまっているのではないかと。
では、美術で学ぶべきことは何か。
プロローグにはこのように書かれています。
私たちが「美術」で学ぶべきだったのは、「作品のつくり方」ではありません。
むしろ、その根本にある「アート的なものの考え方=アート思考」を身につけることこそが、「美術」という授業の本来の役割なのです。
13歳からのアート思考 P13~P14より引用
この本は、20世紀の代表的なアート作品を題材にした授業の形式で、それぞれの作品が持つ歴史的背景や意味、鑑賞の視点について解説が加えられています。
この解説からは、アート作品の技法や鑑賞の視点という美術の知識も知ることができます。
でも主題は、アート作品の鑑賞を通して、物事を見るときの思考がどんなものかを知ること。
「自分だけのものの見方・考え方」を学び直すことです。
アート思考とは?
最近「アート思考」という言葉をよく聞くようになりました。
「アート思考」とは、アーティストが作品を生み出すプロセスと同じように考えるということ。
この本では以下のように定義されています。
「アーティスト」は、目に見える作品を生み出す過程で、次の3つのことをしています。
①「自分だけのものの見方」で見つめ、
②「自分なりの答え」を生み出し、
③それによって「新たな問い」を生み出す「アート思考」とは、まさにこうした思考プロセスであり、「自分だけの視点」で物事を見て、「自分なりの答え」をつくりだすための作法です。
引用:「13歳からのアート思考」 13ページ
「自分だけの・・・」がキーポイントです。
見えないものを見る力
現代は変化が激しく複雑な世の中。
その変化に合わせて「正解」を見つけるのは不可能で無意味なもの、だと末永さんはいいます。
そもそも、先がどのような方向に進むのか。
だれにも予測はできません。
何が正解かもわかりません。
その時々で「正解」のようなものはあるのかもしれませんが、その答えも前提条件もすぐに変わってしまいます。
だから今、「正解を見つける力」ではなく「自分の答えをつくる力」が非常に大切なのですね。
自分が正しいと思っている事柄に対して、
「本当に正しいのか」
「別の考え方はないのか」
と常に疑問を持つこと。
ここがスタートです。
表面的な受け売りの知識ではなく、真に自分の答えを導き出す。
そのために必要なものが、「見えないものを見る力」です。
おわりに
この本を読むまで、アート鑑賞はどちらかといえば苦手なものでした。
それは、作品の表面的な部分だけ見て「よくわからない」と思っていたからなんですね。
作品の知識や歴史的な背景も知らないので、単に敬遠していたのかもしれません。
でも、作品の知識を知らなくても、「自分なりの見方をすればいい」「もっと自由に発想すればいい」と、この本は教えてくれたように思います。
作品の解説文を読んで理解した気になるより、「見えないものを見る力」を養って「自分の答えを見つける」ことほうが大切なんだと。
年齢や経験によって捉え方が違うのかもしれませんが、「アート思考」は、さまざまな事柄・場面に共通して応用できるものだと思います。
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