本記事では、水野学著『センスは知識からはじまる』を紹介します。
ファッションセンス、ビジネスセンス、センスがいい/わるい、など、「センス」という言葉をよく使います。
でも、いったい「センス」とはどういうものなのでしょうか。
「センスは特別な才能なのでは?」とイメージするかもしれませんが、この本を読めば、
「センスの良さは特別な才能ではなく、必要な時間をかければ誰でも手に入る」ということが納得できます。
『センスは知識からはじまる』
著者の水野学さんは、熊本の人気キャラクター「くまモン」や、NTTドコモ「iD」などを生み出したクリエイティブディレクターです。
何か人とは違う特別な才能を元々持った、いわゆる「センスの良い人」というイメージの水野さんですが、そんな水野さんも、センスは「生まれもったものではなく、知識を得ることで磨かれる能力」だと断言します。
この本からわかること
『センスは知識からはじまる』では、「センス」の正体を明らかにして、センスを身につけるには何が必要で、それをどのように磨けばよいのかが、丁寧に解説されています。
・「センス」とは何か
・「センス」の磨き方
・なぜ今「センス」が求められるのか
センスの定義
「センスがいい」とよく言いますが、なにをもって「良い/悪い」を判断するのでしょう。
流行のものをもっているからセンスがいい?
誰よりも成績が良いからセンスがある?
とても売れているからセンスのいい商品?
部分的にはそうなのかもしれません。
でも、流行のファッションを身につけていても、似合っていなければセンスがいいとは言えないですし、成績が良いからといって、一概に仕事のセンスがあるとは言えないですよね。
つまりセンスは、単純に数字で判断できるものではない、ということです。
では、「センスのよさ」とはいったい何なのか。
水野さんの定義は、「数値化できない事象の良し悪しを判断して最適化する能力」のこと。
センスは数値化できないけれど、自分に似合う服を選んだり、その時その場所に合うものを判断したりして、最適化することはできる。
この最適化能力のある/なしが、すなわちセンスの良し/悪しなのです。
センスを測る唯一の道具
センスは最適化する能力だということはわかりましたが、その最適化の基準となるものを知りたいですよね。
何か基準となるものがないと、どこが最適なのかもわからないのですから。
でも、センスは数値化できないので、当然、基準も数値では表せません。
では何を基準とするか。
ここで、水野さんのセンスを測る方法というのが、「普通」を基準にすることなんです。
「普通」といっても、単にありふれたものという意味ではありません。
例えば、似たような商品がたくさんあるなかで、「~といえばこれ」と多くの人がイメージする、いわゆる定番、王道の商品があると思います。
これが、センスを測る基準となる「普通」です。
普通とは、「いいもの」がわかるということ
センスは知識からはじまる Kindle版 P15 より引用
普通とは、「悪いもの」もわかるということ
その両方を知ったうえで、「一番真ん中」がわかるということ
「いいもの」と「悪いもの」の真ん中にある「普通」を知れば、それを基準として最適化できる。
「普通」こそ「センスのいい/悪い」を測ることのできる唯一の道具であり、センスをよくしたいのなら、まず最初に「普通」を知りましょう、ということです。
思い込みは最大の敵
『センスは知識からはじまる』、この本のタイトルどおり、センスを磨くためには、古いものから新しいものまで、あらゆる知識を蓄積することが必要です。
もちろん、センスの良し悪しの基準となる「普通」を知るにも、情報を得て知識を持つことが欠かせません。
自分の持つ知識を総動員して「普通」を見極めるのですが、ここで情報を集めるうえで心得るべきことがあります。
それは、思い込みと主観で情報を集めないこと。
情報は集めれば何でも良いというものではないのです。
私たちはみんなそれぞれ、自分なりの考え方や思い、趣味嗜好があるので、それをすべて横に置いて考えることは、なかなか難しいですよね。
でも、思い込みや主観を外して客観的な情報を集めないと、センスはよくならないのです。
思い込みと主観で集めた情報には偏りがあるし、そもそも、その偏った情報を使って分析を行っても、その分析は間違った結果を導いてしまうことにもなりかねません。
「センスの最大の敵は、思い込みであり、主観性」だと意識して客観情報を吸収することが、センスをよくするために必要なのです。
おわりに
この本を読むと、「センスがない」とあきらめる必要なんかないのだ、と強く思います。
センスは知識を得て蓄積する努力をすれば、誰でも身につけられる能力です。
「センスがない」と嘆いていないで、必要な知識を得ましょう。
最後にもうひとつ、大切なことをこの本は教えてくれます。
それは、得た知識を十分に吸収して自分のものにするには、感受性と好奇心が必要だということです。
水野さんがおすすめするセンスを磨くための公式は、
「感受性+知識=知的好奇心」
大人になると、努力をすれば知識を得ることができる、でも子供のように何にでも興味を示す「感じる力」をなくしてしまっては、知識を自分のものにするのが難しくなる。
逆に「感じる力」を保てば、努力せずとも知識が自然に入ってくるのだといいます。
ぜひ、様々なことを感じで、自分のセンスを磨きましょう。
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