山本幸久 社員食堂に三つ星を|地元食材にこだわった美味しいお昼ご飯

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和歌山白浜 こんな社員食堂がほしい

今日のお昼ご飯は何を食べましたか?

仕事の合間に慌ただしく済ませたのでしょうか。それとも、お気に入りのお弁当を広げたり、仲の良い友達と美味しいランチを楽しんだりできたでしょうか。

毎日、「今日のお昼は何にしよう」と考える時間は、ささやかですが一息つける瞬間ですよね。

ところで、あなたの会社には社員食堂があるでしょうか。最近はカフェのように綺麗で、メニューも豊富という会社も増えているそうですが、私が思い浮かべたのは、もう少し無骨な風景です。

スチールの椅子が並び、決まったメニューが淡々と出てくる。安くて早いけれど味はそこそこ……。そんな、ただお腹を満たすためだけの場所というイメージ。

でも、もしその食堂に、プロの料理人が地元の新鮮な食材を使い、あなたの健康を一番に考えた「三つ星級」のメニューが用意されていたら。

そんな、想像するだけでお腹も心も温まりそうな物語が、今回ご紹介する山本幸久さんの『社員食堂に三つ星を』です。

舞台は、和歌山の豊かな自然。ある家具メーカーの社員食堂で、社員の健康を考えた食事を提供しようと頑張る、一人の女性栄養士さんの物語です。

『社員食堂に三つ星を』の読み心地

ご当地度 :★★★☆☆
非日常度 :★☆☆☆☆
ほっこり度:★★★☆☆
一気読み度:★★★★☆
余韻の深さ:★★★☆☆

和歌山の町自体は、物語の重要なアイテムではないけれど、ところどころに登場する場所や特産品が良いアクセント。社員食堂で働く人々の絆が徐々に深まる感じが前向きで、こんな社食がほしくなります。

さて、この物語、舞台は和歌山だと言いましたが、実は作中で「和歌山」とはっきり書かれているわけではないんです。

ですが、読み進めていくうちに、関西の風景を知っているあなたなら「あ、ここはあそこだ」と、景色が浮かんでくるはずです。

パンダがいる有名なテーマパークや、源平合戦で水軍が舟を隠すために使ったという洞窟、波しぶきがかかるほど海に近い日本最古といわれる露天風呂。

そんな南紀白浜の景色が、物語の「隠し味」のように効いています。(残念ながらパンダは中国に行ってしまいましたが)

主人公の栄養士、日元みなほは、ある日突然、東京からこの見知らぬ土地へ異動を命じられます。「何でもある都会」にいた彼女にとって、最初は「何もない場所」に来てしまったという戸惑いがあっただろうと思うのです。

しかも新しい職場は、一筋縄ではいきません。何かと反発してくるベテランさんや、無関心な人、逆になんでもYesで反応の薄い人。

そんな壁にぶつかりながらも、彼女は「美味しくて健康的なご飯を提供したい」との思いで、スイカや茄子、伝統の醤油麹といった地元特産の食材をメニューに取り入れ、社員食堂で共に働く人の心を少しずつ解きほぐしていきます。

あなたも、新しい環境に飛び込んだときや、新しいことを始めようとしたとき、最初から全員が手放しで協力してくれるなんてことは、なかなかありませんよね。

この物語に登場する人々も、みんなが最初から物分かりがいいわけではありません。ちょっと意地悪な言い方をする人がいたり、新しいことに消極的な人がいたり。

でも、美味しいご飯を介して少しずつ言葉を交わすうちに、彼らの不器用な優しさが、じわじわと伝わってくるんです。

「とっつきにくい人だな」と感じていても、実はただの人見知りだったり、どう接していいか分からなかっただけだったり。

私にも経験がありますが、最初は苦手だと思っていた人が、一緒に仕事をして信頼してもらえたり、めざすところは同じだとわかってもらえたりすると、だんだんと親身になって力になってくれるんですよね。

新しいことを始めるのは勇気がいりますし、失敗して落ち込むこともあります。でも、あきらめずに向き合っていれば、周りに自然と人が集まってきて、仕事がもっと楽しくなる。この物語を読んでいると、あらためてそう思えます。

それにしても、この物語に描かれる食材は、どれも新鮮で自然の味がつまっていそうだし、料理はいい香りが漂うようで食欲をそそります。

誰かが自分のことを思って作ってくれた温かいご飯が食べられる社員食堂なら、それだけで、明日ももう少し頑張ってみようかな、という気持ちになれますよね。

もしかして、仕事中もお昼のメニューが気になり過ぎるかも??

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