人生の再起動ボタンを押してみる? 『カラフル』

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色鉛筆

仕事に追われる日々や、責任の重さに押しつぶされそうな時、「何もかもやり直せたら…」とふと考えることがあるかもしれません。

森絵都さんの作品『カラフル』は、そんな思いに寄り添いながら、生きることの本質に向き合える物語です。

戸惑いながらも、生きる大切さに気づいていく少年の姿を、ユーモアも交えて描くこの作品。

この記事では、『カラフル』のあらすじ、魅力、そして心に残るポイントを紹介します。
忙しいあなたにもぜひ読んでほしい一冊です。

目次

『カラフル』はどんな本?

黄色い風船

「おめでとうございます。抽選に当たりました!」

主人公である「ぼく」の魂は、死後の世界で抽選に当たり、「やり直すチャンス」を得ます。
そのチャンスとは、下界でもう一度修行を積んで、前世での自らのあやまちを自覚すること。

この作品は、死んだ人の魂が現世に蘇るという、転生ものファンタジー作品のような始まり方をします。
魂が蘇ったり天使(?)が出てきたりはしますが、あくまで、現世での人生の再生と成長を描いた物語です。

『カラフル』あらすじ

「ぼく」の魂が宿った先は、自殺を図った中学生・小林真。

天使のガイドを受けながら真として生活する「ぼく」の魂は、家族の不和、友人関係、恋愛の葛藤など、さまざまな困難に直面しながら、これまで気づきもしなかった、色とりどりの人生を感じ取るようになります。

そして、真が抱える問題や、彼自身の本当の姿に気づいていく中で、自らの過去とも向き合うことに・・・。

果たして「ぼく」は、真の人生を再び”カラフル”にすることができるのでしょうか?

『カラフル』レビュー

虹

『カラフル』は、人生の奥深さと希望を気づかせてくれる作品。
この作品は、「人生は多彩、迷いながらも生きる価値がある」のだと感じさせてくれます。

普通の中に隠れた「色」

私たちが普段見過ごしている日常の中に、実は多くの「色」が存在しているんだよと、この物語は教えてくれます。

たとえば、「ぼく」が真の家族を見つめ直していく過程では、父親の挫折や母親の孤独感、無関心に見える兄が実は繊細で家族思いであることを知る場面があります。これは、真が生きている間には理解しようともしなかった、誤解していた、家族の別の一面だったのです。

「完璧な家族」なんてないと思うのですが、表面だけを見て、その裏には悩みや思いがあることに気づきもしなかった。

私たちの普段の生活や人間関係を振り返った時、同じように、物事の表面だけで判断して、隠れて見えないものに気づかないことがあるんじゃないでしょうか。

黒だと思っていたものが白だった、なんて単純んなことではなく、たった一色だと思っていたものがよく見るとじつにいろんな色を秘めていた、という感じに近いかもしれない。

森絵都 『カラフル』 Kindle版 P133/196

一見単調に見える日常が、実は多くの感情や価値観の層を持っていて、それぞれが独自に輝いているのだという気づきが、物語を通じて深まります。

少し違う目線で物事を見直してみると、日常生活に対する感謝や新鮮な発見が増え、人生がもっと豊かに感じられるんじゃないかと思います。

「カラフル」な人生の迷い

人生は常に選択の連続です。
仕事、家庭、人間関係・・・どの選択が正解なのか、そもそも「正解」自体が存在するのか。

『カラフル』は、そんな迷いや不安に真正面から向き合いながらも、あえてその不安定さをポジティブに捉えているように感じる物語です。

この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷っている。
どれがほんとの色だかわからなくて。
どれが自分の色だかわからなくて。

森絵都 『カラフル』 Kindle版 P139/196

この一節は、思春期の子供たちの迷いが良く現れた言葉だと思います。
それと同時に「それでも迷いに向き合おう」というメッセージにも思えます。

いろんな選択に正解を求めるのではなく、自分自身で「これだ」と思える色を見つけていく過程自体が大切なのだと。

物事が多様性に満ちているからこそ迷うのですよね。
「正解」だけを探し求めるのではなく、多彩な色を受け入れることが、前に進むためのヒントかも。

「この色が好き」と簡単に決められないからこそ、そこには多くの可能性がある。
こんな風に迷うこと自体をポジティブに捉えれば、そこに自分自身と向き合うチャンスがあるのです。

自分の「色」を見つければいい

『カラフル』では、「ぼく」が真としての人生を通じてたくさんの葛藤を経験し、自分自身の過去と向き合いながら、少しずつ自分の「色」を見つけ出す姿が描かれています。

誰しも、自分に満足できなかったり、過去を悔やんだりすることがあると思うのです。
でもこの物語は、その不完全さを含めた自分自身を受け入れることの大切さを教えてくれます。

物語の終盤、「ぼく」が真としての過去を振り返り、自分の短所や失敗さえも「色」として肯定していく。

「ぼくはぼくだけの世界で生きてればよかったのに」と。

それは、「ぼく」自身が、自分の中にある”カラフル”さを見つけ出した瞬間です。

この物語は、「完全である必要はない」「自分らしい色で輝いていいのだ」というメッセージを私たちに届けてくれます。

おわりに

空と風船

『カラフル』は、シンプルでありながら深く、心に刺さる物語です。

少年の自殺という、一見暗いテーマですが、読了後にはポジティブな気持ちになれるのが不思議な魅力。
主人公が体験する出来事の中には、現実の厳しさが含まれていますが、最後には「人生を生きる価値がある」と感じさせてくれる優しさが残ります。

忙しい日々を送る中でも、ふと立ち止まり、自分の「色」を見つけるヒントになるかもしれません。
「自分の色とは何か」「迷いの中で何を見つけるのか」、自分の生き方を見つめ直すきっかけを与えてくれます。

この物語の主人公は思春期の中学生ですが、私たち大人にとっても、新たな気付きをもたらしてくれるはずです。

ぜひ『カラフル』を手に取ってみてください。
きっと、あなたの人生もほんの少し“カラフル”になるはずです。

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