祇園祭の裏で起きている、もう一つの京都の物語

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鴨川の夜景

7月の京都といえば、やっぱり祇園祭。

子供の頃は毎年のように宵山に行っていました。人混みをかき分けながら四条通を歩いて、夜店でかき氷食べて、山鉾を見上げて、「おぉ…デカいなあ」って思ったあの感じが懐かしいです。そんな祇園祭の季節になると思い出す小説がいくつかあります。今回取り上げる小説もその一冊。まさか、あの祭の裏でこんなことが起きていたなんて……とニヤリとしてしまうような、ちょっと変わった京都の物語です。

目次

京都の街で繰り広げる謎の青春バトル

この物語は、京都を舞台にした奇想天外なファンタジーなのですが、正直説明しづらい話。大雑把に言うとしたら、京都の大学生が変なサークルに入って、見えない存在”オニ”たちを操り、他大学と謎のバトルをするっていう話です。「なんかようわからん!」ってなりますよね?でも、読み進めていくと、「ようわからんけど面白い!」と思えてくるから不思議です。

バトルの舞台となるのは、まさに京都のど真ん中。鴨川、下鴨神社、御所……。自分が歩いたことのある道や場所が、まったく別の景色に見えてくる。「この神社で、そんなことが……?」と思わず立ち止まりたくなるような、ちょっとクセのある京都が描かれています。

そして、祇園祭。懐かしい宵山の日、7月16日午後8時の四条烏丸交差点が、このバトルの幕開けの場所なのです。

こんな「ようわからん」物語ですが、ただ奇妙なファンタジーだけではなく、大学生活ならではの恋愛や友情、悩みや失敗もきちんと描かれているのが、この作品の大きな魅力です。

笑えて切ないリアルな学生たちの姿

鴨川の夕景

見えない”オニ”を操る謎のバトルという、ギャグのような設定ながら、この物語が単なるギャグ小説で終わらないのは、登場人物のリアルな姿もちゃんと描かれているからです。

登場するのは、普通の大学生たち。ちょっとカッコつけてたり、悩んだり、好きな子に一歩踏み出せず、変に空回りしたり。そういう「大学生あるある」が、笑いの中にちゃんとある。

サークルの新歓コンパ、そこから始まる奇妙な人間関係、ライバルとの戦い……「学生の頃、似たようなことあったかも」と思える場面が意外と多い。

そしてなにより、「なんかようわからんけど、仲間とバカをやることの楽しさ」。これが大人になってからはなかなかできないし、「学生時代が懐かしい」と思わせてくれます。

しかも、舞台が京都。夏の蒸し暑さ、古い町家、石畳の路地、そして祇園祭のにぎわい……京都を良く知ってる人は「あそこやん!」って街が目に浮かぶし、知らなくても、京都の独特な雰囲気は伝わってきます。観光とは違う、学生たちの目線で描かれた京都は、新鮮でちょっと懐かしい。

読み終えたときには、京都に行きたくなっているに違いありません。

今回の小説は・・・

今回取り上げた小説は、万城目学さんの作品『鴨川ホルモー』です。万城目さんのデビュー作で、2006年に第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。京都の大学生たちが繰り広げる、謎の競技「ホルモー」を描いたユーモラスな青春ファンタジー。奇抜な世界観の中に、恋や友情、京都の空気感が絶妙に混ざり合う一作です。

夏の京都がちょっと違って見える、そんな一冊をこの季節にぜひ。

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