毎年7月に滋賀県彦根市の琵琶湖岸で開催される「鳥人間コンテスト」。
滑空機や人力プロペラ機で飛行距離を競うこの大会、あなたも一度はテレビなどでご覧になったことがあるのではないでしょうか?
今回紹介する『トリガール』は、この大会への出場をめざし、鳥のように飛ぶことに魅せられた、大学生たちの熱い青春物語です。
『トリガール』
ご当地度 :★☆☆☆☆
生活実感 :★★★★☆
ほっこり度:★★★☆☆
一気読み度:★★★☆☆
余韻の深さ:★★☆☆☆
物語のメイン舞台は関東。終盤に琵琶湖が少し描かれる程度なので、滋賀県のご当地度は低めですが、鳥人間コンテストを目指す大学生の姿に、スッキリした気分になれます。
子供のころ、毎年のようにテレビで「鳥人間コンテスト」を見ていました。夏休みが始まるころに開催されるので、私にとっては夏の風物詩のような大会です。
プラットフォームから飛び出して、湖面スレスレを滑るように飛ぶ機体がなんとも綺麗で、どこまで飛ぶんだろう、とワクワクした気持ちで見ていたのを思い出します。
自分も飛んでみたい…とまでは思わなかったのですが。
でも、物語の主人公である女子大学生は「自分も飛びたい」と思うのです。
大学の新入生勧誘イベントで見た人力飛行機サークルに、なりゆきで参加することになっただけで、最初は人力飛行機に興味もなかった彼女。
この物語には、そんな彼女が次第に「飛ぶこと」に惹かれていく姿が描かれています。
何が彼女を夢中にさせたのだろう。
飛行機に対するサークル仲間の熱量なのか?それとも仲間と同じ目標に突き進む充実感?
そんなことを思いながら、この物語を読みました。
とにかく、このサークルのメンバーたちは、飛びたくて仕方がない。それも、自分たちで作った飛行機で、自分たちの力で飛びたいのです。
そんなワクワク感が伝わってきます。
一年間かけて、何度も失敗しては改良を繰り返す。やっとの思いで機体を仕上げても、一瞬で湖に落ちるかもしれない。
でも、彼らは何度失敗したとしても次に向けて飛行機を作り続けるのです。
このエネルギーは羨ましくもあるし、清々しさも感じます。
僕らが作る機体だって、今やノウハウの塊だ。でも本当の鳥に比べたら、まだまだ全然だよ。挑戦に終わりはないんだ。
トリガール kindle版 位置No.2378 より引用
物語の終盤に、こんなセリフが出てくるのですが、彼らは、旅客機のようにエンジンで飛ぶんじゃなくて、鳥が自分の力で飛ぶように、自分がエンジンになって、どこまでも飛びたいのでしょうね。
鳥人間コンテストに挑む大学生の姿を描いた『トリガール』。
大学生らしい、ちょっと青臭いというか、照れ臭くなるような会話もでてくるけれど、彼らのエネルギーや充実感に溢れた物語です。
人力飛行機に限らないけれど、何か一つのことに夢中になるって、貴重な経験ですよね。
実は、この物語の舞台は関東の大学です。滋賀県は、鳥人間コンテストの会場しか出てこないので、関西のご当地度としては低い。
けれど、琵琶湖での大会を目指して頑張るのだから、あえて滋賀県が舞台の小説として紹介しました。
1977年に始まった鳥人間コンテスト、2026年の今年も7月に第48回大会が開催される予定です。










