狸の家族が教えてくれる、家族と生き方の話

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下鴨神社

舞台は現代の京都。でも登場するのは、狸と天狗ばかり。この物語は狸の家族が主役なんです。本物の人間はほとんど登場しない脇役。なのに、読んでいると不思議と胸がざわついたり、あたたかくなったりします。京都の町に暮らす狸たちの、笑えて泣ける毎日に、人間の私たちが普段感じている葛藤とか悩みとか、家族への想いか詰まっています。

目次

狸たちの暮らしが映す家族のかたち

「狸が主役の物語」と聞くと、現実離れしたファンタジーを思い浮かべるかもしれません。でもこの物語の狸たちは、実に現実的です。兄弟げんかをするし、親の死を悔やむし、誰かに嫉妬もする。そんな姿が妙にリアルで、人間よりも人間らしいと感じることもあります。

この物語の中では、家族のつながりがとても丁寧に描かれています。口では好き勝手なことを言い合いながらも、なんだかんだで支え合っている狸たちの姿には、ふと自分の家族が重なって見えてくる。特別なことをしているわけではないのに、日々のやりとりの中に、家族という関係の奥深さがにじんでいるんです。

「自分だったらどうするだろう」「家族ってなんだろう」──そんなテーマが、ユーモアの中に込められているところも、この作品の魅力の一つ。決して説教臭くはないけれど、日々を大切にしたいと思えるような、そんな温もりがあります。

「面白く生きる」ことの本当の意味

八坂神社

この物語の中で繰り返し出てくる言葉があります。それが「面白く生きる」。主人公の狸は、この言葉を信条に自由に生きています。自由気ままな生き方に見えて、実はとても強い意志を感じさせるこの言葉。単なる気楽さや気まぐれではなく、「どんな状況でも自分らしく楽しむ」という姿勢がそこにあります。

仕事や家族のことに追われていると、自分が何を楽しいと感じていたか、ふと分からなくなることってありませんか?そんな時にこの物語を読むと、「もっと肩の力を抜いてもいいのかもしれないなあ」と思わせてくれるのです。

物語の中には、自由奔放なだけではない「面白く生きる」姿がいくつも描かれます。自分の弱さを知っていて、それでも笑って前に進もうとする狸たち。誰かに頼ったり、誰かのために少し無理をしてみたり。そうした日常の中に、彼らなりの“面白さ”がちゃんと存在している。案外こんな狸たちの姿が、人生の大事なことを教えてくれるのかもしれません。

読みながら笑って、少しホロっとして、でも最後には前向きな気持ちになれる物語です。

 

こんな風に書いていると、なにやら人生哲学みたいですが、京都が舞台の物語なので、もちろん京都の街の風情は、ちゃんと味わえます。鴨川、下鴨神社、夷川の街並み、四条大橋や南禅寺など、実在の場所で、狸の家族が暮らしている。観光ではない、普通の暮らしの空気感が描かれているので、狸たちの暮らしがリアルで、不思議と親近感がわいてきます。

今回の小説は・・・

今回取り上げた小説は、森見登美彦さんの『有頂天家族』。京都の街を舞台に、狸たちが繰り広げるユーモラスで奥深い物語です。ファンタジーの中に、家族のつながりや、自分らしい生き方とは何かが、笑いと哀愁を交えて描かれる。読みやすくて味わい深い一冊です。

人生の「面白さ」を狸たちから学んでみませんか?心に余白が生まれる物語です。

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