奇妙で笑える『鴨川ホルモー』が東京で再燃する物語

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京都鴨川の夜景

奇妙でわけがわからないのに、なぜか面白くてハマってしまった――あの『鴨川ホルモー』。その登場人物たちが、その後どうなっているのか、気になりますよね?そんな彼らの“その後”を描いた短編集が、万城目学さんの『ホルモー六景』です。

6つの短編からなる作品ですが、なかでも、社会人になった彼らが東京・丸の内で再会する「丸の内サミット」は、あの世界観を知る人にはたまらない一編です。

元祖(?)『鴨川ホルモー』については、こちらを合わせて読んでください。

目次

東京で再会する元ホルモー戦士たち

「丸の内サミット」は、『ホルモー六景』のなかでもちょっと異色。物語の舞台が京都ではなく東京・丸の内なんです。かつて“ホルモー”を戦ったライバル同士が、社会人となり東京のビジネス街で再会する——そんな冒頭から、なにやら始まりそうな予感にニヤリとさせられます。

登場するのは、元京産大玄武組会長の榊原と、元龍谷大朱雀団会長の井伊直子。学生時代は敵同士だったふたりが、それぞれ会社の同僚に誘われて行った合コンで再会します。ふたりの会話は、どこかぎこちなく、でも懐かしさとちょっとした高揚感が入り混じっていて絶妙なんですが、大人になった今でも、ホルモーの記憶はしっかりと彼らの中に息づいているんです。

そして、合コンの夜がふけるころ、物語はしだいに奇妙な方向へ転がっていきます。東京・丸の内の上空に“黒い小オニ”たちが現れる。まさかの“東京ホルモー”の始まり?

突然始まる東京ホルモーの異空間感

東京駅

この展開、正直意表を突かれました。”ホルモー”といえば京都の大学生たちがひっそりと繰り広げる奇妙なバトル…京都という土地に根付いた伝統のような競技だと勝手に思い込んでいました。きっと榊原くんと井伊さんもそう思っていたはず。ところが、東京の高層ビル街で、あの”オニ”と再会してしまうんです。

京都での学生生活を思わせるのんびりした空気とは正反対の、キレイすぎる東京のオフィス街、整いすぎた社会人生活の中に突如現れる”オニ”の違和感。でも、ひょっとしたら、自分の住む街にも“オニ”が潜んでいるのでは?などと、あり得ない想像までしてしまう面白さがあります。

こんな、奇妙で馬鹿馬鹿しい非現実な世界が描かれていますが、この物語が単なる“奇をてらった話”に終わらないのは、根っこに“変わらないもの”がちゃんと描かれているからかもしれません。大学時代の友達に久しぶりに会うと、一瞬で学生時代の思い出や出来事が蘇ってくる、そんな感覚は、誰しも覚えがあるのではないですか。今の肩書とか年齢とかではなく、学生時代と変わらない関係が続いているという感覚。

この物語でも、それなりに経験を積み、社会に出て苦労したことも悩みもあるであろう二人が、いざ”ホルモー”となるとあっさりあの頃のテンションに戻っていく。その様子が笑えるし、ちょっと懐かしい気もします。

ホルモーの世界が広がる短編集

今回取り上げた小説、万城目学さんの『ホルモー六景』は、「丸の内サミット」のほかに5つの短編が楽しめます。京都・鴨川沿いの友情を描いた「鴨川(小)ホルモー」、橋を巡る夏の淡い恋を描いた「ローマ風の休日」、文学青年の恋と作家誕生譚「もっちゃん」、ホルモーの秘密に迫る「同志社大学黄龍陣」、幻想的な恋を描く「長持の恋」。それぞれにユニークな魅力が満載です。『鴨川ホルモー』が好きな方には、ぜひ読んでほしい“その後の物語”。登場人物たちに再会できたうれしさもあるし、”ホルモー”の戦いとは違った一面も見られて楽しめます。

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