『京都寺町三条のホームズ』の小説シリーズを読み始めたのは、この作品が「京都本大賞」受賞作と知ったのがきっかけでした。パラパラとページをめくってみると、どうも骨董品店が物語の舞台のよう。私自身、骨董とか美術品には縁遠くて、知識も皆無。最初は「面白いのかなあ」と思いながらも読み進めたのですが、意外にもハマってしまったのです。シリーズ作品ということもあって、1巻を読み終わると、どうしても次が気になってしまう。
いわゆるミステリーや恋愛というジャンルに収まりきらない、それぞれのいいところが、いい感じに混ざり合って、“ちょっといい話”がたくさん詰まったシリーズ。京都の町並みと、そこに暮らす人とモノの物語が楽しめます。
骨董品が語る人生のワンシーン
このシリーズの魅力のひとつは、骨董品を通して描かれる“人”にあります。古い茶碗や掛け軸、といった品々には、それを作った人、使っていた人の歴史や思いがあって、それが鑑定依頼の背景や心情と絶妙に重なってきます。
たとえば、骨董としての価値がある品かどうかではなく、それが「どんな思いで作られたのか」「どんな思いで大切にされてきたのか」というところに焦点が当てられるエピソードも多いし、品物ひとつひとつに、小さな謎と小さな感動がセットになって物語が進むので、読んでいてしみじみとした印象が残る。
私なんかは、骨董品と聞くと、どこか自分とは距離のある世界のように感じていました。でも、このシリーズを読んでいると、誰の家にもある“ちょっと古いもの”が急に気になってきます。そんな風に思えるのも、このシリーズの面白さのひとつです。
価値があるのかどうかもわからないし、家にあることさえ忘れていたけれど、「そういえば昔から家にあるなあ」という物が、あなたの自宅や実家にもありませんか?
京都の空気感と人の温もり

物語の舞台となるのは、京都・寺町三条の商店街にある骨董品店「蔵」。このお店の空気感が、とにかく心地いい。店の奥にさりげなく置かれた貴重な品々、店内に静かに差し込む光、骨董品店なのに客にそっとだされるコーヒーの香り。外の商店街は多くの人が行き交い賑やかですが、一歩店内に入ると静かな空気が流れている。読んでいるだけで、そんな落ち着いた空間が感じられます。
そして、このお店を中心に徐々に進行していくのが、主人公の葵さんと、鑑定士見習いのイケメン男子・”ホームズ”こと清貴くんとの恋愛ストーリー。最初のうち、二人の関係はどこかぎこちなくてクールなんですが、物語が進むにつれて、少しずつ距離が縮まっていきます。
ふとした仕草や言葉の選び方に、想いがしっかりと込められている。まさに”青春”なのですが、その距離感がちょうどいい感じにゆっくり描かれていて、大の大人が読んでも気恥ずかしくならない絶妙なさじ加減です。
この清貴くん、ただのイケメンじゃないです。はじめて会う人は引いてしまうぐらいの「観察眼」の持ち主。物の価値だけでなく、その背景や人の心の動きまで見抜いてしまう洞察力が、時に鋭く、時に優しく、物語を引き締めています。彼のセリフには、思わずメモしたくなるような名言がちらほらあるのも魅力です。
物語の舞台には、京都に実在する有名な観光名所も多く登場しますが、いわゆる「観光地巡り」的な描写ではなく、京都の日常の暮らしに自然と溶け込んでいます。そのリアルな空気感が、「また京都に行きたいなあ」と思わせてくれますよ。
骨董品に隠れた思いを解き明かす
今回取り上げた、望月麻衣さんの『京都寺町三条のホームズ』。現在も継続してシリーズ化されている作品で(2025年7月現在:第24巻まで)、シリーズ第1巻が、2016年度京都本大賞を受賞しています。京都・寺町三条の骨董店「蔵」を舞台に、品物にまつわる小さな謎や依頼人の心の機微を描く日常ミステリーシリーズ。観察眼の鋭い“ホームズ”こと家頭清貴と、東京から来た女子高生・真城葵のコンビが、骨董品に隠れた人の思いを丁寧に紐解きます。
表紙からも感じられるように、本格的な推理小説や恋愛小説とは違い、もっと気軽に楽しめるライトノベルに近いイメージの作品。まずは第1巻を手に取ってみてください。あとは、自分のペースでハマっていけます。
『京都寺町三条のホームズ』と同じようなテイストで気軽に読める、京都を舞台にしたシリーズ小説を紹介しています。よろしければ合わせて読んでみてください。


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