万城目学 鴨川ホルモー|京都・祇園祭で始まる奇妙なバトル

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四条烏丸で何かが始まる

7月の京都といえば、やっぱり祇園祭。

子供の頃は毎年のように宵山に行っていました。人混みをかき分けながら四条通を歩いて、夜店でかき氷食べて、山鉾を見上げて、「おぉ…デカいなあ」って思ったあの感じが懐かしいです。

そんな祇園祭の季節になると思い出す小説がいくつかあります。『鴨川ホルモー』もその一冊。まさか、あの祭の裏でこんなことが起きていたなんて……とニヤリとしてしまうような、ちょっと変わった京都の物語です。

読み心地チェック
  『鴨川ホルモー』

ご当地度 :★★★★
非日常度 :★★★☆
ほっこり度:★★★
一気読み度:★★★★☆
余韻の深さ:★★☆☆

学生生活のリアルな日常に、非現実の「ホルモー」が混ざり込む、奇妙な世界観が面白い。ホルモーに熱くなる大学生の姿に、次の展開が気になり過ぎます。

この物語は、京都を舞台にした奇想天外なファンタジーなんですが、正直説明しづらい話。大雑把に言うとしたら、京都の大学生が変なサークルに入って、見えない存在”オニ”たちを操り、他大学と謎のバトルをするっていう話です。

「なんかようわからん!」ってなりますよね?

でも、読み進めていくと、「ようわからんけど面白い!」と思えてくるから不思議です。

バトルの舞台となるのは、まさに京都のど真ん中。鴨川、下鴨神社、御所……。自分が歩いたことのある道や場所が、まったく別の景色に見えてくる。

「この神社で、そんなことが……?」と思わず立ち止まりたくなるような、ちょっとクセのある京都が描かれています。

そして、祇園祭・宵山の日、7月16日午後8時の四条烏丸交差点が、このバトルの幕開けの場所なのです。

こんな「ようわからん」物語ですが、ただ奇妙なファンタジーだけじゃなく、大学生活ならではの恋愛や友情、悩みや失敗もきちんと描かれているのが、この物語の大きな魅力です。

見えない”オニ”を操る謎のバトルという、ギャグのような設定ながら、この物語が単なるギャグ小説で終わらないのは、登場人物のリアルな姿もちゃんと描かれているからです。

登場するのは、普通の大学生たち。ちょっとカッコつけてたり、悩んだり、好きな子に一歩踏み出せず、変に空回りしたり。そういう「大学生あるある」が、笑いの中にちゃんとある。

サークルの新歓コンパ、そこから始まる奇妙な人間関係、ライバルとの戦い……「学生の頃、似たようなことあったかも」と思える場面が意外と多い。

そしてなにより、「なんかようわからんけど、仲間とバカをやることの楽しさ」。これが大人になってからはなかなかできないし、「学生時代が懐かしい」と思わせてくれます。

しかも、舞台が京都。夏の蒸し暑さ、古い町家、石畳の路地、そして祇園祭のにぎわい……京都を良く知ってる人は「あそこやん!」って街が目に浮かぶし、知らなくても、京都の独特な雰囲気は伝わってきます。

観光とは違う、学生たちの目線で描かれた京都は、新鮮でちょっと懐かしいです。

万城目学さんの『鴨川ホルモー』は、万城目さんのデビュー作で、2006年に第4回ボイルドエッグズ新人賞の受賞作。

京都の大学生たちが繰り広げる、謎の競技「ホルモー」を描いたユーモアたっぷりの青春ファンタジー。奇抜な世界観の中に、恋や友情、京都の空気感が絶妙に混ざり合う作品です。

あり得ない物語だけど、京都の街ならあり得るかもと思わせてしまう。夏の京都がちょっと違って見えてきます。

この小説、京都を舞台にした小説をまとめた、「京都が舞台のおすすめ小説10選」でも取り上げています。よろしかったらご覧ください。

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