松宮宏 アンフォゲッタブル|神戸・元町で人々をつなぐJazz

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JAZZが流れる街で結ぶ絆

学生のころ、T-SQUAREやCASIOPEA、MALTAなんかのフュージョン系音楽をよく聴いていました。どこか都会的で、スピード感があって好きだったんですよね。

そこから、アルトサックスをかじってジャズにも興味を持って…。全然詳しくはないけれど、いまだにフュージョン・ジャズは大好き。

『アンフォゲッタブル』は、ジャズが好きな人にはぜひ読んでほしい小説です。

読み心地チェック
  『アンフォゲッタブル』

ご当地度 :★★★☆
非日常度 :★☆☆☆
ほっこり度:★★★
一気読み度:★★★
余韻の深さ:★★★

神戸に実在の場所が随所に登場します。ジャズを通じて人が交わり、お互いが少しづく変わっていく様子に、人の温かさと優しさを感じます。

『アンフォゲッタブル』の舞台は、神戸・元町の高架下。

今は再開発が進められ、昔の面影が少なくなっているけど、昼間は雑多な空気が漂い、夜にはちょっと影のある雰囲気が広がっていました。

観光ガイドにはあまり載らないけれど、地元の人に「モトコー」と呼ばれる、なじみ深いところ。

この物語は、その高架下にあるジャズバー「JAMZ」を中心に進みます。ここに集まってくるのは、定年後の元サラリーマン、元ヤクザ、プロのミュージシャンをめざす女性などなど。

それぞれに人生を歩いてきた彼らを結びつけているのは、「ジャズが好き」という気持ちです。

音楽が共通言語になる瞬間って、確かにある気がします。全く知らない人どうし、言葉はなくても、同じ音を聞いているだけで笑顔がこぼれて気持ちが伝わる。

ジャズに限らず、音楽好きなら、そんな空気を感じたことがあるんじゃないですか?

この物語は、「JAMZ」のカウンターに座って、好きなお酒を片手に演奏を聴いている姿が思い浮かぶぐらい、元町の高架下とジャズの空気感が魅力的に描かれています。

登場人物たちは、普通の暮らしの中では、だぶん交わることのない背景を持っている。でも、店の空気と音楽が、彼らの距離を少しずつ縮めていく。お互いの価値観や痛みを理解して、徐々に心が重なっていくのです。

「こんな出会いが現実にあるといいな」って思います。

そして、この物語には実在のお店やミュージシャンも多く登場します。神戸を良く知る人なら、「ああ、あの店のことか」とピンとくる場面もあるはず。

フィクションでありながら、架空のものだけじゃなく、実在の場所や人がさりげなく挟まれているから、読んでいても「自分の記憶の一場面」ように感じられ、すっと物語に入り込めます。

ライブとかフェスに行ったことがある人や、楽器は挫折したけど聴くのは好きっていう人なら、きっとどこかで「この感覚、わかる」と共感できる瞬間があるはずです。

神戸・元町の高架下を舞台にした『アンフォゲッタブル』。この小説は「2023ひょうご本大賞」受賞作です。

日本のジャズ発祥の地と言われている神戸に実在する場所やお店が数多く登場し、音楽を通じてつながる人々の物語。ジャズの名曲・歴史・ミュージシャン…と、全編にわたってジャズの「うんちく」も満載。

街の空気とフィクションが心地よく溶け合う一冊です。

音楽好きなら、きっとこの物語が心に残ります。静かな時間にじっくりとジャズを聴きたくなるかも。

この小説、兵庫を舞台にした小説をまとめた、「兵庫が舞台のおすすめ小説10選」でも取り上げています。よろしかったらご覧ください。

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